お家でできるかんたんhaptics Illusion

この記事はHaptics Adventカレンダー(https://adventar.org/calendars/4151) 3日目(?)の記事です。前の記事は@kobax_km7の減衰正弦波を用いた振動触覚提示でした。

kobazlab.tech

 

軽く私のことを自己紹介すると,前の記事を書いた人と同じ研究室にいる@gitogitogissyuです.触覚研究の中でも主にscienceよりのことをやってます.詳しくは下記リンクを見ていただくと良いかと.(あまりtwitterでつぶやかない人なので...)

はじめに

さて、本記事ではお家でできるかんたんtactile illusionと題し、錯視ならぬ錯触の世界をご紹介したいと思います。皆さんご存知のように視覚における錯覚は様々存在します.例えば,同じ長さなのにも関わらず,全く違う長さのように見えてしまうミュラーリヤー錯視や,同じ色なのにも関わらず,周りの状況のために全く異なった色に知覚されてしまうチェッカーシャドウ錯視などが挙げられます.これと同様に触覚にも様々な錯覚が存在します.一般的にこれはtactile Illusionと呼ばれ,世界中の触覚研究者によって研究され続けてきました.今回はお家で今すぐ試せるtactile Illusionに絞っていくつかご紹介したいと思います.
 
非常に古い錯覚としてアリストテレスの錯覚が挙げられます.これは,人差し指と中指を交差させた状態でものを間に挟むと1つしかないものが2つに感じられる錯覚です.更にはこうさせた指を机の角に当てると,2つの面に触れているにも関わらず,1つの面として感じることができます.個人的な体感としては分かる人はわかるし,わからない人はわからないままな感じがします.ただ何回かやるとわかった感じがします.
 

Weight-size illusion

50kgの羽毛と50kgの鉄,どっちのほうが重いですか?と質問すると鉄のほうが重いと答えやすいみたいな話を聞いたことがあるでしょうか.この話に近い現象が触覚において報告されています.2つの全くおなじ重さ,ただ大きさ(体積)が異なるものをもたせた際には,小さいものの方を「重い」と答える傾向があることが示されています.実際におうちで試すときには異なる大きさの木材を準備して,重さが同じになるように調整する必要がありますね.
 

Comb illusion

髪をとかすときに使う櫛.この上に指をおいて櫛の歯を横からなぞってみてください.どんな感じがしますか?何かが動く感じ?一点で押された感じ?この錯覚を発見した著者らは,得られた回答として「なにか出っ張ったドットのようなものが動いている感じがした」ものが多かったことを報告しています.更にはその原理まで解明し報告しています.
 

おわりに

段々疲れてきました.他にも色々ご紹介したいものはありますが(ハンガー反射,ミュラーリヤー錯視の触覚バージョン,などなど)もうアドベントカレンダー投稿締め切り直前のため(今23:08)一旦ここで筆を置きたいと思います.また後ほど本ブログ,及び記事をアップデートすることで対応したいなとおもいます.(やるのかな...)ちなみに,本記事の元ネタになった論文は”A Brief Taxonomy of Tactile Illusions and Demonstrations That Can Be Done In a Hardware Store” by Vincent Hayward になります.もしほかの錯触に興味があれば一読されることをおすすめします!ではでは.